成果尺度、パフォーマンス・ドライバ

バランスト・スコアカードで用いる評価指標には、成果尺度とパフォーマンス・ドライバの2つがある。

具体例を使って2つの違いを説明しよう。

いま「売上を増やすこと」が目標だとする。その目標の達成度合いを測定するためには、当然、売上高という指標が必要だ。このときの「売上高」が成果尺度だ。何かをやった結果、得られる成果を測る尺度ということだ。

売上高という成果尺度は必要だが、これだけで終わってしまったら、具体的に何をしたらいいのか分からない。

売上高は、何らかの行動が原因となって起こった結果だ。原因となるものを測る指標がパフォーマンス・ドライバだ。成果尺度が結果を事後的に測定する指標であるのに対し、パフォーマンス・ドライバは事前の行動指標である。

成果尺度は目標が決まればほぼ自動的に見つかる。売上を増やしたいなら、成果尺度は「売上高」という具合だ。しかし、パフォーマンス・ドライバは自動的には見つからない。成果を得るために何をやればいいかは、自動的には分からないからだ。

パフォーマンス・ドライバは経営者の考え方や価値観にも大きく依存する。選んでみたものの、それに従って行動しても成果が上がらないこともる。したがって、試行錯誤も必要だ。

そんな不確かなら、パフォーマンス・ドライバなんか考えても意味がないと思うかもしれない。しかし、パフォーマンス・ドライバを選定しなければ、人はどう行動していいか分からない。行動したとしても思い思いのバラバラの行動を取るだけだ。人は指標という採点基準通りに行動するからだ。

「売上高」という成果尺度だけだと、「売上を上げろ!」という掛け声だけで、意味のある行動が何も伴わない組織になってしまうのである。

考え抜いてパフォーマンス・ドライバを選び、それに従って行動し、やり抜いてみて、それで結果が伴わなければ、見直してみる。その繰り返しが必要なのだ。