監査意見

監査意見とは、監査法人が会計監査(→監査)の結果として表明する、財務諸表の適正性に関する総合的な意見である。監査の最終評価であり、監査の合否を表すものである。

会計監査は、財務諸表が企業の経済的実態を適正に表しているか否かを監査するものなので、その意見は適法性ではなく適正性に関する意見となる。

監査意見には、監査上の制約と財務諸表上の欠陥とのそれぞの重要性に応じて、無限定適正意見、限定付適正意見、不適正意見、意見差控の4つがある(下図)。

ここで、監査上の制約とは、十分な監査を実施する上での制約である。たとえば、十分な時間が確保できない場合や、必要な情報が入手できない場合などが監査上の制約がある場合に該当する。財務諸表上の欠陥とは、監査要点を満たさない事項が財務諸表に存在することである。

監査意見のうち、無限定適正意見とは、重要な監査上の制約も、重要な財務諸表上の欠陥もなく、財務諸表全体として適正ということを意味する。合否で言えば、「文句なく合格」ということだ。

限定付適正意見とは、重要な監査上の制約または重要な財務諸表上の欠陥があるが、財務諸表全体で見れば虚偽記載と言えるほどではないということを意味する。ケチは付くが「一応合格」ということだ。

不適正意見とは、著しく重要な財務諸表上の欠陥があり、財務諸表全体としても適正とは言えないということを意味する。これは「不合格」である。

意見不表明とは、著しく重要な監査実施上の制約があるため、監査意見が表明できないことを意味する。「採点対象外」ということだ。合格とも不合格とも言えないので、合否としては中立的な意見ということにはなるが、「採点対象外」というのは合否以前の問題なので、市場の受け止め方は非常にネガティブなものになる。

不適正意見または意見不表明は上場会社にとって上場廃止事由になる。