限界利益

限界利益とは、以下のように売上高から変動費だけを引いた利益である。

売上高-変動費=限界利益

ここで使われている「限界」という言葉は少々分かりにくい言葉だ。「限界」という言葉の意味は後で改めて説明するとして、とりあえず「変動的」というニュアンスで捉えておけばよい。「変動的」とは「正比例的に変動する」ということだ。すなわち、限界利益は売上高の変化に正比例する利益である。たとえば、売上高が10%増えれば限界利益も10%増えるということだ。

他の利益は売上高に正比例するということは基本的にない。どこかで固定費が引かれているからだ。

さて、「限界」という言葉の本来の意味をあらためて説明しよう。

「限界」や「限界的」という言葉は経済学の分野でもよく登場する。これは、「その時の瞬間的な変化率」を意味する言葉だ。

たとえば、歩き始めて\(t\)時間後に\(d\) kmの地点まで来たときの速度を考えてみよう。もっとも単純なのは、歩いた距離\(d\) kmをかかった時間\(t\)で割った以下のものだろう。

\[
v_{a} = \dfrac{d}{t}
\]

これはこれで1つの速度である。これは、現在まで歩いた距離をそれに要した総時間で割った速度なので、平均速度(平均変化率)を表している。

ただ、人は必ずしも一定の速度では歩かない。時間が経てば疲れてくるので、歩く速さも遅くなるだろう。下図は正にそういう状況を表している。

このような場合は\(t\)時間後時点における速度(瞬間速度)は上記の平均速度\(v_{a}\)とは異なっている。この瞬間速度が限界変化率の概念である。それは、数学的にはその時点の接線の傾き(上図の\(v_{m}\))である。