直接金融、間接金融

直接金融と間接金融の違いは、資金提供者が資金調達会社を直接的に信用しているか間接的にしか信用していないかの違いである。

負債としての資金調達である借り入れと社債発行を下図で比較して考えてみよう。

図 (a) のように、会社Xが銀行から借り入れをする場合を考えよう。会社Xは銀行から資金を調達するが、その元となっているのは一番右にいる預金者が銀行に預けたお金だ。したがって、会社Xに対して実質的に資金を提供しているのはこの預金者である。

この場合の預金者は、誰を信用し資金を提供しているかというと、それは銀行である。仮に、銀行が融資した会社Xが返済不能になったとしても、その責任を取るのは銀行であって、その影響は自分達には及ばないと信じているから、銀行にお金を預けるのである。

預金者の立場にしてみれば、預けたお金を銀行がどこに融資するかはあずかり知らないことだ。実際、銀行に預金するときに、「どうかこれは会社Xへの融資に使ってください」と言ってお金を預ける人は誰もいない。

この場合は、会社Xを間接的にしか信用していないことになるので、間接金融という。

次に、図 (b)のように、会社Xが社債を発行して資金調達する場合を考えよう。この場合も、実質的な資金提供者は一番右にいる会社や個人だ。これらの会社や個人が証券会社等で社債を購入することによって、資金が会社Xに提供される。

間に金融機関が入る構図は、図 (a)と似たものになる。どこが違うかというと、実質的な資金提供者が会社Xの弁済能力を信用して資金を提供している点だ。実際、「どこの会社のものでもいいので社債をください」と言って社債を購入する人はまずいない。社債を購入する者は「会社X発行の社債をください」と銘柄を指定して購入するのが普通だ。これはすなわち、会社Xの弁済能力を信用しているということを意味する。これを直接金融というのである。

株式発行の場合は言うまでもなく直接金融である。