社員

日常用語で「社員」と言えば、一般的に会社で働く従業員を指すのが普通である。しかし、会社法における意味はそれとは全く異なる。会社法においては、「社員」とは会社に対する出資者を意味する。

どのような会社であっても、会社設立に際してお金を出した者が実質的な会社の所有者、いわゆるオーナーである。したがたって、「会社の構成員」という意味での社員は出資者なのである。

従業員は、法律上は「使用人」という。

株式会社の場合は、社員とはすなわち株主である。株主は株式会社にしか存在しないので、それ以外の合名会社合資会社合同会社では株主という言葉は使えない。株主会社以外では、株式会社における株主総会に相当するものは社員総会という。

株式会社以外の会社では基本的に所有と経営が一致しているので、社員が経営に当たることになる。そのような会社においては、「社員」という肩書は「出資者兼経営者」を意味し、「代表社員」はその中で代表権を有している社員を意味する。肩書としての「社員」は株式会社の「取締役」に近いが、社員の場合は必ず出資者でもある点で取締役とは異なる。「社員」を英語で言えば「パートナー」である(下図)。

監査法人などで見られる社員も出資者兼経営者を意味する。監査法人という法人はかつては合名会社に準じた法人であったが、現在はほとんどすべての監査法人が「有限責任監査法人」となっている。これは、合同会社に準じた法人になったということだ。いずれにしても、監査法人における社員は、合名会社や合同会社における社員と同じ意味であり、パートナーと呼ばれるのも同じである。

コンサルティング会社の多くもかつては同様の法人形態を取っていたために、パートナーという存在がいた。現在は、多くのコンサルティング会社が株式会社化しているが、それでもなお「パートナー」と呼ばれる人が存在することがある。それはかつての名残であり、今となっては単なる役職名であることが多い。