継続性の原則は、会計基準の根底に流れる原理原則の1つである。
継続性の原則とは、「会計処理の原則及び手続は毎期継続して適用し、正当な理由がある場合を除いて、みだりに変更してはならない。」という原則である。
会計は、もともと「事実と慣習と判断の総合的産物」と言われるように、唯一絶対的なものではなく、会計処理に関しても企業側に選択の余地が結構ある。
たとえば、棚卸資産の評価方法には先入先出法や平均法の方法が認められているし、減価償却方法についても定額法や定率法などの複数の方法が認められている。
このように複数の会計処理が認められている場合、基本的には企業の自由裁量でいずれかを選ぶことができる。
会計処理方法の選択に一定の自由度がある現実を踏まえれば、一度選んだ会計処理方法を毎期継続的に使い続けることが重要である。もし、会計処理方法の事後的な変更まで自由に認めたら、時系列での会計情報の比較可能性は保たれないし、会社による恣意的な利益操作もいくらでも可能になってしまう。
適正な会計情報のためには、継続性の原則は会計処理の選択以上に重要と言ってもよい。
制度上は「正当な理由」があれば継続性の変更は認められる。仮に正当な理由であったとしても、継続性の変更は注記によって開示しなければならず、監査報告書にも記載されるので、非常に目立つようになっている。
なお、IFRS(国際会計基準)においては、日本基準ほど継続性の原則に重きは置かれていない。IFRSはその時々のタイムリーな経済的実態を描写することに重きを置いているので、継続性に固執してその時々の経済的実態が忠実に描写できないくらいなら、継続性は犠牲にしてもいいというスタンスを取っている。たとえば、減価償却に関する耐用年数、残存価額、償却方法などについて、IFRSは毎事業年度見直すことを課している。規則的・継続的な減価償却を良しとする日本基準とは極めて対照的である。