変動費、固定費

変動費・固定費という費用分類は、何かの変化に対して変化する費用か否かという分類である。変化するのが変動費、変化しないのが固定費である。

「何かの変化」は、何の断りもない場合は売上高であることが多く、教科書的な本では、それを当然の前提のようにしているものもある。

しかし、必ずしも売上高の変化に対するものでなくてもよい。 たとえば、数量や時間の変化に対して変動費・固定費というのもあり得る。製品の生産量に対して、材料費は変動費であり、設備の減価償却費は固定費という具合だ。

変動費・固定費という概念は制度的な財務会計にはない。一般に、社内にある会計情報は財務会計情報なので、変動費と固定費を知りたければ、財務会計情報を基に変動費と固定費に分ける必要がある。それを固変分解という。

変動費・固定費を直接費・間接費と混同するケースをときどき見受ける。確かに両者は重複が多いため、

変動費≒直接費、固定費≒間接費

と考えても実務上差し支えないことも多い。しかし、そもそもの意味が異なるし、重要な差異もあるので、明確に区別すべきである。たとえば、直接労務費は直接費であるが、その従業員が正社員であれば固定費である。また、「固定費だから配賦する」という人がいるが、配賦対象となるのは間接費である。